凸凹研究所

関心のある、購入した製品ついて書く不定期更新の雑記ブログです。

バーコード決済(何とかペイ)から考える日本の非現金化(キャッシュレス化)

どうしてバーコード決済に注目を集めるのか?

 去年辺りから急速に〇〇Payと呼ぶバーコードを用いた非接触決済が話題になっています。非接触決済は既にクレジットカード/デビットカードを始め、電子貨幣、交通系ICカード、ID/QUICPay等が日本では実用化されています。

 バーコード決済はあくまでそれは決済手段の一つでしかありません。現にLINE Payはバーコード、LINE Pay プリペイドカード(JCB)、QUICPayGoogle Pay)、NFC(国内未実装)の四つの手段に対応しているので、実際は非現金非接触決済の選択肢が増えただけです。では何故バーコードが流行っているか?

 それはシステムの構築が安価に出来るからです。この一年で物凄く加盟店が増えたのも、提供側の営業努力もありますが、やはり導入維持費用の安さが最大の理由です。具体的には…

 国際ブランドのデビットカード/クレジットカードで支払う習慣が確立している欧米や韓国と違い、日本ではそこまでカード払いが日常的では無かったので、ここから非接触決済が始まった中国と同様にバーコード決済が取り入れられる隙間が生まれたんだと思います。

 もう一つの理由として電子マネーの新規参入がもう難しいのもあると考えています。PayPayやLINE Pay、金融機関があれだけ力を入れているのは、自社が楽天等と違い電子マネーを持っていないのも関係があると思います。

カード利用者はあんまり優遇されない?

 LINE Payを除くサービスでは基本的にはカードから支払う事が出来ますが、どちらかと言うと、入金したお金を使用する、デビットカードみたいに銀行口座から引き落とす事を宣伝している所が多いと思います。 特に超高還元率で話題なPayPayはキャンペーン時でもYahoo! Japanカード以外のVISA/MasterCardでは還元率が低く(10%)、自社のYahoo! Japanカードでも19%で、PayPayに入金したお金を使う事で漸く20%になります。前述の通りLINE Payにいたってはカード払いは不可です(今年登場予定のLINE Pay VISA クレジットカード(仮)を用いれば使える様になる予定)。銀行も都市銀行地方銀行問わず独自でバーコード決済に参入しています。

 考えられる理由として…

  • 銀行:国際ブランドから決済を奪う。
  • 決済サービス事業者:自社サービスを中心とした経済圏の確立。

 かなぁと思います。

 規格、種類が多すぎる日本の非現金決済

 海外ではVISAとMasterCardの二大国際ブランドがあればほぼ事が済み、地域によっては交通系ICカードやアプリを用いたバーコード決済がありますが、あっても業界全体で仕組みが統一されていたり、強い二、三社で占有しています。それらも国際ブランドから入金が可能な事も多いです。

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ローソンの例

 しかし日本国内は国際ブランド、QUICPay/ID、電子貨幣(交通系楽天EdynanacoWAON)、そしてバーコード決済とやたら規格が多いです。一つの店でしか使えず、ポイントも貰えず、現金でしか入金出来ない独自プリペイドカードもあります。人口の多い中国大陸部がAliPay、WeChat Pay、銀聯の三強で非現金決済が構成されているので人口は関係ありません。私も前々から何で日本ではこんなに規格が多いんだろうと疑問に思っていました。

blog.livedoor.jp

 確かに自前主義的な動きが強いと思います。大手コンビニで唯一バーコード決済を取り入れていないセブンイレブンも既存の採用せず自前の物を進めようとしてます(nanacoもそうですね)。この記事によくまとめられていますが、日本ではどちらかと言うと囲い込みの商売が強かったのだと私も思います。

 ただファミリーマートビックカメラのポイント制度の変更を見るにそうした状態を改善しようとする動きもあるのは事実です。キャッシュレス分野でも、国際ブランド、Origami Payやメルペイ、経済産業省は規格の開放や互換性保持を訴えているので、全部が全部そう言う気質では無いとは思うので、業界も、広い地域で使われているEMV決済を中心に普及を進めるのと、似たような物は統一する方がいいと思います。私としては…

  • 国際ブランド:クレジットカード嫌いの人を惹き付ける為にデビットカードプリペイドカードの普及を促進。EMV決済可のカード/店舗も増やす。
  • 銀行:どこの銀行/信託銀行/信用金庫/信用組合でも国際ブランドデビットカードを発行。J-Debitは要らない。
  • QUICPay/ID:やっている事がEMV決済と同じで必要性が無いので、縮小してEMV決済の普及に切り替えるべき(Google Pay/Apple Payも同様)。残すならFelicaの高速決済を生かせる公共交通で使える様にする(PiTaPaと同じ)。
  • 電子貨幣:来客推進なら別にポイントカードだけでいいんじゃ…?各店舗でしか使えない専用電子貨幣は廃止。
  • 交通系:公共交通機関各社で共同管理会社か団体を作って完全に統一する。各カードの名前はブランド名として残れば良い。PiTaPa式の後払いも普及させる。
  • バーコード:費用が安いので零細個人店とCtoCでの活用を中心(フリーマーケット等)にして、チェーン店は安全性に勝るEMV中心に。折角、熱が高まっているのに日本人だけしか使えないのはアレなので、訪日外国人(特に中国人以外)でも使いやすくする。規格は統一。
  • Apple Pay:デビットカード/プリペイドカードの対応を増やす。Androidに進出してくれないかなぁ…。
  • Google Pay:上に同じだが、それ以上に対応カードがApple Payと比べて少なすぎるのでそこに追い付く。

 国際ブランドが圧倒的に決済の中心を占める欧米でも国際ブランドに支払う手数料は問題になっているので、国際ブランドだけが正しいとは思いません。ただ淘汰が起きず、規格が乱立していているのは私はそれ以前の問題だと思います。観光業が急成長している日本において、いくら技術的に優れていても、訪日外国人に使い辛く、私達日本人も不便する様な状況から早く改善してもらいたいです。

参考資料

about.paypay.ne.jp

news.yahoo.co.jp

 

脱現金化、キャッシュレス、クレジットカード、デビットカードプリペイドカード、国際ブランド、NFCEMV決済、Felica、電子貨幣、電子マネー、バーコード決済、QRコード決済

 

令和元年6月8日:間違えがあったので修正。